くらしトゥデイ / 読みもの

認知症の親がエアコンを消してしまう。
離れて暮らす家族ができる、熱中症対策の見守り構成

スマートリモコン・温湿度計・見守りカメラの3点。実家にインターネットがなくても、モバイルルーター1台あれば組めます。筆者の身近で実際にあった出来事をもとに、同じ構成をそのまま説明します。

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起きたこと

この夏、筆者の身近でこんなことがありました。離れて暮らす親御さん(認知症があります)が、家族が付けておいたエアコンを自分で止めてしまう。理由を聞くと「寒いから」「もったいないから」。猛暑日の閉め切った部屋で、室温は体温を超えかねない状況でした。幸い大事には至りませんでしたが、家族が気づいたのは偶然です。

高齢になると暑さやのどの渇きを感じにくくなるとされています。加えて認知症があると、「暑いからエアコンを付ける」という判断や操作そのものが難しくなります。本人は我慢しているつもりがない——ここがこの問題の怖いところで、「暑かったら付けてね」という約束は対策になりません

そこで「家族が遠くから室温を見て、必要ならエアコンを入れられる」状態を作りました。使ったのは特別な介護機器ではなく、家電量販店やネット通販で買える3つの機器です。設定を手伝ったところ、介護を担当してくれているケアマネジャーさんにも「こんな方法があるんですね」と驚かれました。ITに詳しくない家族でも、日々の見守りはスマホのアプリを見るだけです。

構成:3つの機器でできること

機器役割実売価格の目安*
スマートリモコン外からスマホでエアコンをON/OFF。温度センサー付きなら室温の確認も約4,500〜6,500円
スマート温湿度計室温と湿度を常時記録し、しきい値を超えたらスマホに通知約1,300〜5,000円
見守りカメラ部屋の様子と本人の無事をスマホで確認。双方向通話ができる機種も約2,700〜8,000円

* 楽天市場の実売価格(本ページ下部の商品データ取得時点)をもとにした概算です。

最小構成でいくなら:スマートリモコン(温度センサー付き)1台。
「室温を知る」と「エアコンを入れる」の両方がこれ1台でできます。カメラに抵抗がある家庭でも始めやすい入口です。慣れてから温湿度計・カメラを足しても遅くありません。

① スマートリモコン——「消されても、外から入れ直せる」

エアコンの赤外線リモコンと同じ信号をWi-Fi経由で送る機器です。エアコン本体の買い替えや工事は不要で、10年前のエアコンでもリモコンで動く機種ならほぼ使えます。本体をエアコンの赤外線が届く位置(テレビ台や棚の上)に置き、アプリから家族のスマホを登録すれば、離れた場所から冷房を入れられます。

温度センサー内蔵のモデルなら「室温が28℃を超えたら通知」「30℃を超えたら自動で冷房ON」といったルールも組めます。本人が操作しなくても部屋が冷える状態を作れるのが、この構成の要です。

② スマート温湿度計——「まず室温を知る」

見守りの第一歩は「実家の室温が今何度か」を知ることです。スマートリモコンのセンサーだけでも分かりますが、独立した温湿度計を本人が長く過ごす部屋(居間・寝室)に置くと、部屋ごとの温度が見えます。エアコンのある居間は26℃でも、寝室は35℃——という事態に気づけます。

③ 見守りカメラ——「様子を目で確認できる」

通知が来たとき、最終的に知りたいのは「本人が無事かどうか」です。電話に出ないときにカメラで様子を確認できると、駆けつけるべきかの判断がつきます。双方向通話ができる機種なら、カメラ越しに「エアコン入れるよ」と声をかけることもできます。

プライバシーへの配慮:カメラは本人の尊厳に関わります。設置は居間などの共有空間にとどめ、本人にも「心配だから置かせてね」と説明して、できる限り同意を得てください。家族の間でも「誰が見られるか」を決めておくと揉めません。

「実家にインターネットがない」——モバイルルーター1台で解決します

ここが一番つまずくポイントで、そして意外と知られていない解決策があります。上の機器はすべてWi-Fiが必要ですが、高齢の親の家に光回線が引かれていないことは珍しくありません。「ネット工事から……」と考えると数週間かかりますが、工事は不要です

モバイルWi-Fiルーター(ポケット型Wi-Fi)を1台、実家に置くだけで足ります。SIMカードを挿して電源につないでおけば、見守り機器3つ分の通信量は十分まかなえます。カメラの映像を見る時間が長くなければ、データ容量も大きくは使いません。

設置のコツと、やっておくとよいこと

この構成でできないこと(正直に書きます):転倒や急病そのものは防げませんし、検知もできません。停電やルーターの不調があれば通知は止まります。あくまで「室温の異常に早く気づき、遠隔で冷房を入れられる」仕組みであって、熱中症のリスクを減らす手段のひとつです。心配が大きい場合は、自治体の高齢者見守りサービスや緊急通報システム、訪問回数の調整などをケアマネジャーさんと相談してください。

費用のまとめ

パターン構成初期費用の目安月額
最小スマートリモコン(温度センサー付き)のみ ※実家にWi-Fiがある場合約5,000円0円
基本スマートリモコン+温湿度計+カメラ ※実家にWi-Fiがある場合約1万〜1.5万円0円
ネットなしの実家基本構成+モバイルルーター約2.5万〜3.5万円回線プラン数千円

介護保険の給付対象になる福祉用具とは別枠の、いわば「家電でできる自衛策」です。数万円で「今日の実家の室温が分かる」状態になることを、高いと取るか安いと取るかはご家庭それぞれですが、筆者の身近のケースでは家族全員の安心感がまるで違いました。

関連ツール:電気代シミュレーター
「エアコンをつけっぱなしにしたら電気代はいくら?」——親御さんの「もったいない」に数字で答えたいときに。

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